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日々雑感(ミステリ感想中心)

まほろ市の殺人(秋)(麻耶雄嵩/祥伝社)

95.まほろ市の殺人(秋)(麻耶雄嵩祥伝社

総評:★★★☆☆

オススメ:麻耶雄嵩ファンのあなたへ。

 

あらすじ(引用)

「早く乗せて!」非番の刑事天城憂の車に、女性が乗り込んで来た。真幌市在住の有名なミステリー作家闇雲A子だった。この春から十一件も連続して殺人事件が発生している。その「真幌キラー」をA子は追っていたのだ。死体の耳が焼かれ、傍には必ず何かが置かれている。犬のぬいぐるみ、闘牛の置物、角材…。真幌市を恐怖のどん底に陥れる殺人鬼の正体とは。

 

中編なんでかなり適当に読み流したんだけど、いやーーーー中編でも麻耶雄嵩でしたわ。油断できないすね...

取り敢えず麻耶雄嵩の作品全部読もうと思って買っただけなんだけど、倉知淳我孫子武丸有栖川有栖との共作だそうなので、残る3作も読もうかなぁ。

取り敢えず本作だけでも話は分かるので、麻耶雄嵩が好きなら読んでもいいと思います。固有名詞がトンデモだった頃の初期麻耶って感じ(今もそうか…)。でも例によって麻耶雄嵩を知らない人にはおそらく壁本なので、うーん、積極的には勧めません。個人的には星4つなんだけど、冷静に考えると星3かな。

 

 

 

 

※以下、ネタバレあり感想

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

闇雲A子が探偵と思いきや、実は耿子が安楽椅子探偵…と見せかけて、実際に謎を解くのは終盤ぽっと出の怪盗ビーチャムという、「探偵が多すぎる!!!」のがまず人を食っている。実に麻耶雄嵩

珠代と見処少年を殺したのが「タクシーの運転手」という見えない犯人なのは(古典的ながら)なるほどなぁと思わされた一方で、真幌キラーの連続殺人の理由が「漢字の見立て」という「小学生のなぞなぞか??!」レベルのしょうもない真相が明かされ落差にずっこけた。

と思ったら、その「しょうもない動機」の殺人犯が実は他ならぬ耿子だというのがまた。麻耶雄嵩.........詰め込みすぎだってばよ...

 

「あなたが優しくなったら分かるんじゃないかな」

この一文が秀逸すぎてもう。


というか、読み返すと耿子との会話まじで2人ともサイコよね。

麻耶雄嵩は結局犯人野放しエンド多いけど、本作もそういう「突き放した」感じが好みですねぇ。