金田一少年の事件簿(天樹征丸・さとうふみや/講談社)
番外編11.金田一少年の事件簿(天樹征丸・さとうふみや/講談社)
金田一少年は良いぞ。
ちょっと前に、DMMで電子書籍100冊まで全品驚異の70%オフという気の狂ったキャンペーンをやっていた。とはいえ、普段は別の電子書籍サイトを贔屓にしているので、「DMMでは完結している作品を買いたいな」と考えて、未読の巻もあるコナンを買う手もあったのだが、やっぱり大好きな金田一を買いなおすことにした。
コナン派の皆様には悪いが、私はなんといっても金田一派だ。金田一少年の事件簿は良い。特に第一期の金田一はミステリとしての出来だけでなく、ちょっと泥臭い絵柄といい、ベッタベタなラブコメ感といい、漫画作品として文句のつけようがない。絶対に読んだ方がいい。
コナンはコナンで良いところもあるのだが、敢えて差別化して金田一を押したい理由は以下の通り。
・長編はほとんどクローズドサークルで怪しげな村や洋館、孤島に閉じ込められ、連続殺人が起きる
・アクションよりもおどろおどろしいホラーとの融合が多く、各作品には個性豊かな「怪人」(犯人の異名)が出てくる
・犯人もバンバン死ぬし、めちゃくちゃ後味の悪い事件が多い(その分救いのあるオチや切ないエンドの時は思わず泣かされてしまう)
・準レギュラーキャラだろうと容赦なく、犯人・被害者になりうる(安全圏がいない)(一番の好き好きポイント)
文庫版第一期だけであれば、たった26巻で事足りるのも手軽でいい。caseシリーズ全部買っても+8冊(計34巻)だし、短編集や明智警視の番外編を含めても+7冊で済む。
(第一期に比べると個人的には微妙だが)続きが読みたければ金田一R、金田一37歳もある。第一期を全巻読んだ後であれば、「犯人たちの事件簿」を読むのもいい(表紙が完全に第一期のネタバレなので、未読なら絶対にググらないでほしい)。
さぁみんなも金田一少年の事件簿を買おう!
※因みに、金田一少年は絶対に刊行順に読む必要がある。というのも、後の巻で前の巻の犯人やトリックに普通に言及してくるからだ。何なら表紙やタイトルでもネタバレしかねない。これから読む人は気をつけようね。
ステマはさておき、金田一シリーズは何回読んでも最高なので金田一少年の事件簿ランキングと全巻一言感想をまとめておこうと思った。完全に俺による俺のための備忘録である。でも金田一少年読んだ人はみんな絶対ランキング作るでしょ。金田一少年の事件簿で打線組むでしょ。組んでくれ。読みに行きます。
というわけで「続きを読む」以降、前半はネタバレなしのランキング、後半はガンガンネタバレありの各巻感想という構成になっている。
なお、とりあえずは第一期(~金田一少年の決死行までの26巻。第二期や短編集などはいったん除外)だけを対象にまとめた。続きも読んだら加筆するかも。自分用に。へへ。
●「この犯人がすごい!」1位
犯人当ての難易度や動機の面から考えて、「悲恋湖殺人事件」が個人的には一番かなと。
<あらすじ(引用)>
忍び寄る殺人鬼の影・悲恋湖伝説殺人事件。モニターの代役を頼まれ、悲恋湖を訪れた一。しかしメンバーの1人が、無惨な姿で惨殺されてしまう。奇しくも前夜、凶悪な殺人犯脱走のニュースが流れていた…。
ミステリ慣れしている人とそうでない人で、犯人当ての難易度がかなり変わりそうな気がする。初読時は犯人当てでめちゃくちゃびっくりした。あと金田一シリーズ屈指の名(謎)物動機も見どころ。
●「事件のインパクトがやばい!」1位
色々な要素を加味して、「異人館殺人事件」を選びたい。
<あらすじ(引用)>
聖夜を染める殺人劇・異人館ホテル殺人事件函館で行われる推理イベントに脅迫状が届いた。担当刑事・俵田の頼みで、一はイベントに同行。だがその推理劇の途中、一の目の前で本物の殺人が発生してしまう!
金田一少年シリーズの中でも割と異色な一作だと思うけど、そこがいい。なんでこれが「インパクト」1位なのかは、読んだ人には伝わるはず。すごいよね。多分コナンだとできない。
●「この怪人が恐ろしい!」1位
ダントツで「学園七不思議殺人事件」の「放課後の魔術師」ですね。
<あらすじ(引用)>
魔術的な密室殺人・学園七不思議殺人事件。不動高校に伝わる学園七不思議。七つ目の謎を解いた者には、災いが訪れるという。その謎を解明した桜樹るい子は無惨にも「放課後の魔術師」に殺されてしまう。
ネタバレにならないと思うので、これはもう画像見てもらった方が早いやつ。
こえーよ!!!!
後々、明智警視の短編の方でもネタにされていたレベルなので、この造形、インパクト、怖さは狙ったものだろうなぁ…実写版はもっとやばい。画像の粗さも相まって超怖い。
次点としては、オペラ座の怪人、魔神遺跡かな…いや、金田一の怪人は基本どれも怖いです。
●「このゲストキャラが好き!」1位
魅力的な女性キャラが多い金田一シリーズだが、個人的にはやっぱり「魔神遺跡殺人事件」の宗像先輩…ですかねぇ…
<あらすじ(引用)>
凶鳥の怒りに震えよ!!魔神遺跡殺人事件。遺跡発掘のバイトのため魔陣村を訪れた一。だが、村の守り神「凶鳥ノ命」の怒りにふれた参加者達が、村に伝わる「魔神具」の呪いによって次々命を落としていく。
宗像先輩がどうなってしまうのかは是非本編を読もうね。
金田一は怪しげでグラマラスなお姉さんキャラが多くて本当に良い(金田一がスケベなくせにヘタレなとこも相まって最高のラブコメだ)。しかも結構あっさり死んだり犯人になったりする。同じ路線で「学園七不思議」の桜樹先輩や「オペラ座の怪人」の緒方先生も大好き。
●金田一ベストランキング
第3位「魔術列車殺人事件」
<あらすじ(引用)>
死を操るマジックショー・魔術列車殺人事件地獄の傀儡師からの脅迫状に従い、北海道行きの特急に乗った一。列車という密室で起こった殺人。一瞬で消えた死体は、遠く離れたホテルの一室に移動していた!
漫画ならではの伏線が光る一作。本編のトリック自体がめちゃくちゃ良い!というよりはたたみ方が好きですねぇ…
第2位「飛騨からくり殺人事件」
<あらすじ(引用)>
復讐の首狩り・飛騨からくり屋敷殺人事件!家督相続をめぐって揺れる巽家。愛憎渦巻くこの家に伝説の首狩り武者が現れた! 恐怖の叫び声の元に駆けつけた一の目の前には、首のない死体が座っていた……。
トリックやオチ含め、全体的に非常によくまとまった一作。魔術列車もそうだが、「なぜ普通に殺すのではなく、こんな猟奇的な事件にしたのか」にきちんと意味があると、高評価をつけてしまいますね。
第1位「露西亜人形殺人事件」
<あらすじ(引用)>
死を見つめる青き双眼露西亜人形殺人事件。遺産相続の候補者に宛てられた一通の暗号文。解読を依頼された一は露西亜館へと同行する。そこで一を待っていたのは5体の露西亜人形を使った連続殺人だった…。
うーん、最高傑作。クローズドサークル、亡くなったミステリ作家の一癖ある関係者達、因縁のライバルキャラ、からくりだらけの怪しい屋敷、暗号あり、密室あり。いやもう、てんこ盛りですよ。オチも最高にキレキレで大好き。
強いていうと、メインの謎自体の出来はそこそこだが、演出と構成が好き。金田一ファンサイト見てても高評価のイメージがある。
個人的にはクローズドサークルが大好きなので、アクションサスペンス色の強い「金田一少年の殺人」や色味の異なる「雪影村」はそんなに高評価ではないのだが、逆にそういうのが刺さる人もいるだろう。こうしてみると、なんというか、たった26巻でこうもバリエーション豊かに殺人事件を繰り出してくるのはやっぱりすごい。
みんなも読もう、金田一少年。
※以下ネタバレあり、各巻感想
・オペラ座館殺人事件
記念すべき第1作。それ以上でも以下でもないが、金田一特有の報われないオチ、不気味な演出がきちんと詰まっていて、第1作目から本当に良き。あと、窓からのぞく「オペラ座の怪人」の仮面は怖すぎる。
・異人館村殺人事件
物理トリックと意外な犯人。個人的には大好きな事件だけど、大人の事情により語られない可哀想な回。まぁ島荘御大パクっちゃいかんよねぇ。
でも、この事件も犯人の悲壮感が非常に好きです。冷酷な殺人鬼として育て上げられた犯人が、自分の復讐のために利用していたはずの若葉を心から愛してしまう。でも計画はきちんと実行し、最後は炎とともに…――
村の関係者ではなさそうな六星先生が犯人というのは、初読の時にはビックリした。今読み返すと、何故か金田一たちについてくる先生はあからさまに怪しいのだけど。
・雪夜叉伝説殺人事件
THE物理トリック。アリバイ崩し。
ミステリとしての出来も悪くないが、やっぱり驚きなのはヒロインの美幸がほぼ出てこない代わり、新しいヒロインポジこと玲香ちゃんとイヤミなライバルキャラとなる明智警視が登場すること。テコ入れ回だったのかね。殺人を「ゲーム」とか言っちゃう初期明智さん、ほんとただの嫌なキャラで笑っちゃうよね...。
玲香ちゃんはちょっとワガママなところがアイドルらしくて「ぽい」のだけど、その分、金田一にはぞっこんなところが本当可愛い。ギャップ萌え。金田一の嫁は美幸ちゃん一択だけど、玲香ちゃんも報われてほしい…
・学園七不思議殺人事件
前述のランキングの通り、とにかく不気味すぎる怪人のインパクトがヤバい事件。オペラ座館の仮面もそうだけど、金田一はホラー演出も上手くて好き。
金田一には少々珍しい、全く同情の余地がない犯人。先生ちょっとかわいそうだけどね。
あと、この巻は青山ちひろのしゃれこうべが喋っていたり、作画担当による「あそび」が見られる。進撃の巨人とかにもたまにあるが、シリアスなシーンで遊んでくるの、ちょっと好き。
・秘宝島殺人事件
性別入れ替えのインパクトがあまりにでかい一作。この事件以来、美少女が出てきても「こいつ本当に女か…?」と疑うようになってしまった。
また、このころからあからさまなミスリード(今巻におけるクリスくん)が時々登場するようになる。
基本的に犯人は死ぬか酷い目に遭う金田一の中でも珍しく、希望に満ちたエンドを迎えるところも印象的。
・悲恋湖伝説殺人事件
S.K.絶対殺すマンとしてあまりに有名な遠野英治が出てくる一作。トンデモ動機ランキングでは金田一少年の殺人に匹敵するのではなかろうか。
顔なし死体で偽装はミステリ的には鉄板だけど、初めて読んだ時はめちゃくちゃびっくりしたな。意外な犯人系、ミッシングリンク。
・異人館ホテル殺人事件
なんといっても、準レギュラーの佐木を殺す展開にびっくり。そして安全圏っぽく見えた警察側に犯人がいるという真相にダブルびっくり。
金田一のこの、準レギュラーでも安全圏などないという攻めの姿勢が大好きなんだよな。学園七不思議で美幸も襲われてるし。
ただまぁ、双子トリックはちょっとずるいけどね...
・首吊り学園殺人事件
ホラー要素強めでしっとり悲恋もの。
これも意外な犯人ものとしてやりたかったのかなぁ。読み返すと浅野先生にしか焦点が当てられていない上明らかに犯人ではない風に誘導されているのがわかるので、犯人当ては簡単なのかも。当時は結構ビックリした。アリバイ崩しモノ。
・飛騨からくり殺人事件
ランキング2位。トリックもオチも好きですねぇ!金田一シリーズでも鉄板で人気の事件じゃなかろうか。再読しても実によく出来てる。物理トリック。
悲恋湖同様、ミステリに小慣れていると首無し死体が出てくるだけで「おや?」となってしまうところ、嬰児入替の伏線も活かしてこのトリックにまでまとめれば、ミステリ読みでもまず真相にたどり着くのは難しいのではないか。「普通に殺害したら死体解剖の時に嬰児入替が露見する可能性があるから、わざわざこんな回りくどい殺害方法を考えた」というのが面白い。
最後の、紫乃さんを殺害しようとする龍之介と、それをかばう紫乃さん…という構図も本当によい。
伏線の張り方もフェアで申し分なく、他の事件に比べてトリックも大胆かつリアリティがある。これなら私も実行できそう!笑 いやぁ、好きだなぁ(ベタ褒め)
・金田一少年の殺人
ここまで基本クローズドサークルでの事件ばかりだったところ、一変してサスペンスみの強い一作。トリックは正直微妙だが、毛色が違うので好きな人には刺さるのかも。暗号モノ。
娘を救いたいとはいえ、合言葉を知っている人を次々殺していくのは酷すぎる。トンデモ動機事件の1つ。
・タロット山荘殺人事件
トリックは薄味だけど、倒叙が少し入ってくる。金田一少年の殺人と同じく、実験的な感じがあって面白い。
なんといっても、準レギュラー速水玲香の過去掘り下げをここでやるのか!?という意味でインパクトは強い。しかも玲香ちゃん、その後も登場するのに、この事件でクソ重な過去&育ての父・実の兄が犯人という枷を背負わされちゃうし......一話完結ものなのに、金田一は攻めるなぁと思った回。本筋ではないけど、「首に何かをまきつけることができない」というミッシングリンクの作り方も好き。
・蝋人形城殺人事件
明智さんが出張ってくる回。最初はひたすら嫌味な刑事ポジションだったのが、この頃には金田一と共闘するよき相棒的キャラになっている。
探偵だったりミステリ作家だったりと全員がミステリ通という設定だったので、そのあたりもうちょっと活かしてほしかった感。密室モノ。
・怪盗紳士の殺人
「登場人物の中に変装した怪盗紳士がいる!」という設定が、今までのシリーズ的には一風変わっていて斬新。これも試行錯誤の一つなのかな。いわゆる怪盗vs探偵モノ。
「怪盗紳士」と名乗っているが実は女性、というのは今思えばハサミ男みたいなものというか...。
読み返してみると、盗作された作家の娘が盗作した作家に実の娘として名乗り出て家に転がり込むというのは設定的に無理があるような。あとゲストヒロインが犯人というのも結構目新しいよね。
・墓場島殺人事件
パニックホラー寄りの一作。トリック自体はややお粗末だが、全体的に結構好き。
なぜ好きかというと金田一にしては珍しい共犯で、しかも二人とも最後まで生き残る事件だから。しかも片割れは同じ不動高校のメンバー。身内から犯人も被害者も出るというのが金田一の最高of最高なところ。
まぁ、復讐したい相手を島に集めて自分もさりげなく島に乗り込む...という割と無茶な設定なんだけども。
・魔術列車殺人事件
高遠登場回。金田一シリーズは、魔術列車以前・以後に大別できる。分水嶺的な作品。マジックをモチーフにしているのでトリックもスマートでよき。ランキング第3位。
高遠は以降ライバルキャラとして度々出てくるが、正直厨二っぽさが強すぎるというか、あまりに漫画的なキャラすぎるので高遠が安売りされてバンバン出張ってくると個人的には微妙…でも初登場回である本作は割と好き。
・黒死蝶殺人事件
金田一シリーズ屈指の人気ロリキャラるりちゃんの巻。
トリックや構成自体は正直微妙だけど、かつての犯人である遠野英二が再登場したり、殺される動機を作りにくい子供が死んだり、回答編で実写カラー写真が挟まるなど、色々とイレギュラーな一作。まぁコノハチョウのトリックは警察気付くでしょ...と思わんでもないです。
あと遠野英二、きっとむごたらしく死ぬんだろうなと思っていたので、まさかのハッピーエンドルートはビックリだった。
・仏蘭西銀貨殺人事件
精神的双子(笑)とかいうなんじゃそりゃトリックで有名な一作(まぁ一応ミッシングリンクもの...?)。とはいえかなり好きな作品の一つ。タロット山荘と同じで倒叙的な語り口になっており、ギャグパートのバランスもよい。あと普通に未成年飲酒していて笑ってしまった。
「ブドウアレルギー」を口実に標的に毒を飲ませたり(被害者候補になることで犯人候補からも逃れられる)、飲みかけのワイングラスのトリックは心理誘導的で結構好きだが、密室トリックやフロッピーディスクの下りはややお粗末。フロッピーディスクくらい調べときなさいよ。
でも最後の「ロワゾ」の下りは金田一作品でヒールになりがちな中年おばさんキャラが非常にかっこよく描かれており、好きですねぇ...
・魔神遺跡殺人事件
これも割と意外な犯人か。巧妙な伏線、終わり方含めて好きなエピソード。密室モノ。
港屋さんの死に方がダイナミックすぎて異常なインパクトを残す事件。しかも事故って。かわいそうだ…
さつきと弥生という名前のミッシングリンク、鳥野辺さんのまさかの過去等、笑いあり切なさありで綺麗にまとまった事件。
・速水玲香誘拐殺人事件
サスペンス寄りの一作。悲劇のヒロイン玲香ちゃん回にして、まさかの高遠再登場の巻。アリバイ崩し。ミステリに慣れた今読むと「ヒゲを剃れ」が明らかに怪しいので、日付変更に気付…うーん…気付かないかもしれないけど、割とありがちなトリックかもしれない。
玲香ちゃんのお母さん登場。天涯孤独の身にはならなくてよかったね。
・魔犬の森の殺人
金田一シリーズではどんな人物も被害者・犯人になりうるのだ...という非情な事実を叩きつける一作。金田一の幼馴染にして準レギュラーの千家が犯人。容赦ないぞ金田一シリーズ!
墓場島並みに「こんな上手く舞台設定整うのか?」という事件。幼馴染でよく知ってるんだから、金田一がついてきた時点で実行に移すのはやめておけばよかったのに...
全体的にパニックホラー寄り。あとシリーズ1導入が酷いと思う。
・銀幕の殺人鬼
殺され方や舞台設定がどことなく第一作、オペラ座館を思い出す久方ぶりの不動高校が舞台の話。密室モノ。
鍵の回収方法ちょっと無理あるよね...何度も練習したとは書いてあるけど。
・天草財宝伝説殺人事件
がっつり暗号モノ。実際の長崎らへんが舞台になっており、MMR感がすごい。ΩΩΩ<な、なんだってー!?
愛すべきおじさん枠の和田が犯人でまじで可哀想になるけど、罪もない相続候補を殺しまくるのはなかなか鬼畜。同じく娘の命を救うため殺人を犯しまくった金田一少年の殺人の焼き回し感もあるが。ピアノを靴下にいそいそ詰め込む和田ちゃんが可愛くて切ない。
・雪影村殺人事件
美幸たちレギュラーキャラ不在で雰囲気が結構違う、異色の作品。金田一ひとりが雪影村に旅立ち事件に巻き込まれるため、なんとなく旅情・青春ミステリみがある。
トリックはまぁうん...いやそもそもそんな勘違いで自殺しますかね...全員幼馴染なのに躊躇いもなく殺す犯人もちょっとどうかと...
・露西亜人形殺人事件
ランキング1位。トリックが、というより構成の妙が光る傑作。しかし仏蘭西銀貨と言い、国名シリーズでもやりたかったのだろうか...。
暗号モノかつ密室モノ。
マスターキーを持たせて密室性をあげたり、狂言殺人の片棒をかつがせたり、最後の大どんでん返しを推理させるなど、高遠の使い方がうまい。
そして、実は作家本人が全てを「指揮」していたのではないかという金田一に珍しいタイプのじっとりとしたイヤミス(後味の悪い話は多いが、「これなら殺意をもってもおかしくない」という動機ではない人間の悪意100%の殺人は結構珍しいと思う)。犯人を炙り出す流れもお見事。
個人的には一と美幸の可愛いイチャラブもよき。
・怪奇サーカスの殺人
意外な犯人もの...なのかな。子供が犯人かつ共犯。金田一的には結構珍しい。
ただ、トリックは正直無理があるような。錯視のトリック、子供を大男にみせかけるとさすがに頭身がおかしいから多分バレる。
・金田一少年の決死行
劇場版・金田一少年の事件簿的な一作。サスペンスアクション寄りだし海外だし、過去作ゲストキャラバンバン出てくるし。まぁ第一期最終作だからね。ファンサービスが凄い。
トリック自体や意外な犯人については、うーん。
事件自体はあれとして、最後のボスラッシュと言わんばかりのサブキャラ大集結は熱い。
いやあ書いた書いた。8000字超えてるわ。
文庫版の残り(吸血鬼伝説以降と短編集)も読んだら加筆します。