好きなものだけ食べて生きる

日々雑感(ミステリ感想中心)

DEATH COME TRUE(本格実写アドベンチャーゲーム/イザナギゲームス)

番外編8.DEATH COME TRUE(本格実写アドベンチャーゲームイザナギゲームス)

総評:★★★★☆ 総プレイ時間:4時間くらい
おすすめ:ノリは選択肢のある映画みたいな感じ。ノベルゲーが好きな人、スーパーダンガンロンパ2・v3が好きだった人ならまぁ楽しめるのではなかろうかと。

※なお、ミステリ要素は限りなく薄いです。サスペンス寄り。

 あらすじ(App storeより引用)

とあるホテルの一室。ベットに横たわる、1人の男。けたたましく鳴り響く電話の音で目が覚める。電話をとるとフロントからのメッセージ。

「お困りのことがあればいつでもフロントまで」

男は、自分がどうしてここにいるのかわからない。というか、何も思い出せない。ふと、まわりをみわたすと、縛られ気を失っている女性。テレビから流れるニュース映像。そこには、連続殺人犯として指名手配されている男の姿が。

そこへ、ドアをノックする音。

 

最近ミステリほっぽってゲーム感想ばっか書いてませんか?(すみません)

ダンガンロンパの小高氏が関わったゲームということでプレイ。

とはいえ、値段が2000円程度、しかも地雷率の高い実写ゲー、アプリからも配信ということで、「こりゃ地雷ゲーですわwww」と草を生やしながら購入しました。すみません。でも2000円で地雷ならまぁ安いかなって。

 

で、評価ですが……うん、悪くないじゃん??いや、全然いい出来と思う。

元々期待していなかったせいもあるかもしれないけど、実写でこういうゲームを作れるのは普通にすごいと思う。小高氏を知らない人がプレイしたら結構びっくりするんじゃなかろうか。

というか、敢えて(ダンガンロンパとか買う客層と異なる)実写ゲーにしたのは、小高氏の作品を知らない&こういうタイプのゲームに親しくないプレイヤーを狙ってやったのかもしれない。だとすると作戦勝ちかもですね。

 

ざっくり良い点・悪い点をまとめるとこんな感じ↓

【良い点】

・演出が巧み。一番評価したい点はここ。

・実写ゲーで一番不安だった「演技」も悪くなかった。めっちゃ上手い!とかではないけど、違和感はないと思う。

【悪い点】

・勘のいいプレイヤーはすぐオチに気づいちゃうかも。

・オートセーブシステムなので、セーブデータを分けて分岐を見るとかができない。ただしこれはネタバレあり感想でちょっと補足したいところでもある。

・2000円なんでしょうがないけど、ちょっとシナリオ薄いかも。さくっとプレイできるのはよい点ですが。

・冒頭にも書いた通り、「ミステリ!謎解き!伏線!」という頭使うタイプのシナリオではない。もうちょっとなんか…いろいろ仕掛けができたのでは?とも思ってしまう。ちょっと残念。あとほぼ一本道なので、そこも惜しいかな…

 

1000円くらいだったらもっと気軽にお勧めできるんだけど、うーん。まぁイロモノゲームが好きな人なら悪くないんじゃないでしょうか。

例によって「ネタバレ厳禁!」なのでここから先はネタバレあり感想にて。

 

※本作はApp,Google play,Switchでの配信のほか、PS4やPCでの配信も予告されています。自分はSwitchから購入。Steam配信するなら、セールまで待ってもいいんじゃないかな~と思うようなボリューム感ではありました。

Death Come True - デスカムトゥルー

Death Come True - デスカムトゥルー

  • Izanagigames, Inc.
  • ゲーム
  • ¥1,960

apps.apple.com

 

 

 

※以下、ネタバレ感想(行きがかり上、ダンガンロンパシリーズ(無印・SDR2・v3)のネタバレを含みます

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず、最後の選択肢を「現実に戻る」ルートで終わったところなのですが。

いや、これ、スーダン2のオチとおんなじじゃん???????

「このまま仮想空間にいたら最愛の彼女と一緒だけど、君は本当に現実世界に戻ってしまうの?」って問いかけ、完全にスーダンじゃないですか~~~

あ、でも片方選ぶと完全に最初からになっちゃうのはなかなか悩ましいし、よいポイントですね。セーブできずに、必ずどっちか片方を選ぶことを迫られるのはOneShotに通じるところがある。

で、ここでオートセーブしかできないところが活きてくるんだよね。

 

このゲーム、いわゆる選択分岐式のノベルゲームだから、ちょいちょいセーブしたくなるんだけど、オートセーブの上に、一回死んだ後に「終了する」を選ぼうとすると「今までの記録がなくなりますがよろしいですか?」って聞かれるので、結局システム的な「セーブ」機能がないわけですよ。ここが上手い。

そもそも「終了する」を選ぶと「記録がなくなる」ことについて、「なんでやねん、不便なシステムだな~」と思ってたんだけど、ここも実は伏線?だったという。

 

この世界は「COME TRUE」という仮想現実世界で、「プレイヤー」は「空木」という実際にいた殺人犯の人格に乗り移って、彼の記憶を追体験するプログラムに参加していた。結局この「プレイヤー」(サチムラアカネの彼氏)の名前は出てこないので、仮に「主人公」と呼ぶことにする。

 

ゲームをやっている我々視点では、一度空木が死ぬエンドまで至ると「あなたは死にました」の画面になってしまい、リトライか終了かを選ぶことができる。ゲーム的によくあるタイプの画面なのでそのことを当然受け入れるが、実はこれは「主人公」も見ている「画面」であり、要するに「リトライシステム自体も丸っと含めて、「主人公」は仮想現実を繰り返し続けていた」というメタ構造なんですね。

途中でナビゲーターのフロントが言う「強制終了の方法は、あなたも何度も見てきたはず、「終了する」を選ぶことです」のセリフが、本作一番切れ味のいい一文だったなーと思った。なるほどね、と。

確かに、こんな警告文を出されたら「終了する」を選ぶプレイヤーはいないだろう。

そして、選んだらこの「仮想空間」は主人公にとっても終わってしまうのだ。選んでしまったら、もう一度始めるときには文字通り「最初から」、記憶を全部失って一番はじめからやり直すことになる。うーんなるほど。

とはいえ、一応ゲームなのでどっかで休憩を入れたい人のためにオートセーブにしておくことで「終了する」を選ばなくても続きから始めることは可能というシステムにしておく。うんうん。システム周りとストーリーがリンクしてるっていうの、メタゲー好き的には大好物ですよ~~~まぁこの辺もスーダン2を彷彿とさせるわけだけど。笑

 

と、先にゲームのオチ部分について語ってしまったけど、この「メタオチ」を支える演出も個人的には非常に良かったです。

正直実写ゲーだから、まさかあんなバグ演出が入ってくるとは思わなかった。スーダン2みたいだ!!!笑(またかい)

いや、まじめに、いわゆる「この世界は仮想現実でした」オチ、いろんなゲームで使わるメタネタだと思うんだけど、これを実写ゲームで実現させるのはすごく上手いな~~~と。

なんとなく実写だと「リアルっぽいゲームなのかな」と思ってしまうせいか、メタネタまで思い至らなくないですか?盲点だと思うんだけど、私だけかなぁ。

実写止め絵じゃなくて完全に映像で見せるゲームなのも、「仮想現実」というのを忠実に再現していて偉いです。頑張ってるなーと思った。

一回バグが始まった後は例の「あなたは死にました」画面もバグバグになるところが良いね。「終了する」を選べばこの世界を終わらすことができるって聞いた後なので、「どれを選ぶのが正しいんだ???」ってちょっと悩んだりもした。もしかして裏ルートがあったりするのかなとか(あるのかな?ないと思うけど)。

 

選ばなかった選択肢系を選びなおすのが結構手間なので、検証できてないところはいっぱいあるんだけど、中でも秀逸だなーと思ったのは、拳銃で頭を撃ち抜くかどうかの選択で「どうしよう…」とか悩んでいると勝手に「撃たない」を選ばされてしまうところ。あれ自動だと思うんだけど、あってます??そしてほかの選択肢だとそういうことは発生しなかったと思うんだけど…

「撃たない」ルートだと「君は精神病で、すべては妄想だったんだよ…」と説き伏せられるエンドになるわけですが、なんかあれはあれで一つの真実だった可能性もあるのかなとか思ってしまいました。メタの更にメタ。

 

つまるところ、スーダン2の良演出を煮詰めまくって、実写という別方向から作り上げたメタゲーだったかなと。

ダンロンシリーズみたいに爆発的に流行ったりはしなそうだけど、Appストアの評価見る限りだとまぁまぁ高評価でよかったね、という感じ。人様の感想が読みたいところです。