斜め屋敷の犯罪 (島田 荘司/講談社文庫)
36.斜め屋敷の犯罪 (島田 荘司/講談社文庫)
総評:★★★★☆
オススメ:物理トリックの代表作。ミステリ読みなら一読の価値あり。
あらすじ(引用)
北海道の最北端、宗谷岬の高台に斜めに傾いて建つ西洋館。「流氷館」と名づけられたこの奇妙な館で、主人の浜本幸三郎がクリスマス・パーティを開いた夜、奇怪な密室殺人が起きる。招かれた人々の狂乱する中で、またもや次の惨劇が…。恐怖の連続密室殺人の謎に挑戦する名探偵・御手洗潔。本格推理名作。
王道中の王道ということで選択。うん、まあ、そうね、
私、物理トリックがあんまり好きじゃないんですよ。これに尽きる。
キングを探せのときのレビューに似てくるんだけど、本作は基本的にケチのつけようがない優等生な作品で、さすが島荘、さすが名作と名高い斜め屋敷、という感じではあるが、徹頭徹尾「トリックの面白さ」が主役のミステリである。
そんな殺し方ある?!!という斬新なアイデアは脱帽だが、正直なところ「いや、でもこれ状況的に犯人は限定されてくるし、トリックが分からなくても現実には犯人捕まるのでは…」「というか、そこまで大掛かりな殺し方しなくてももっとうまい方法あるだろ」という余計なことまで考えてしまうのが難である。ミステリあるあるではあるが笑
もちろん、読みやすい文章、キャラクターの心理描写、突拍子もない行動をする魅力的な探偵役、と個人的にミステリにおいて重視したいポイントも抑えているのだが…何だろう…今や、ピタゴラ装置的物理トリック一本のミステリは楽しめなくなってしまったのかもしれない。
「斜め屋敷」という知名度の高さ故の期待感も、読後のがっかり感を助長してしまった気がしているので、また島荘にはチャレンジしたい。