ネジ式ザゼツキー(島田荘司/講談社)
45.ネジ式ザゼツキー(島田荘司/講談社)
総評:★★★★☆
オススメ:ファンタジーのような世界が一つ一つ紐解かれていく、一風変わったミステリを読みたいあなたへ。
あらすじ(引用)
記憶に障害を持つ男エゴン・マッカートが書いた物語。そこには、蜜柑の樹の上の国、ネジ式の関節を持つ妖精、人工筋肉で羽ばたく飛行機などが描かれていた。御手洗潔がそのファンタジーを読んだ時、エゴンの過去と物語に隠された驚愕の真実が浮かびあがる!圧倒的スケールと複合的な謎の傑作長編ミステリー。
「斜め屋敷の犯罪」に続く島荘二作め。あらすじ読んでもさっぱりミステリとは思えない中身だったので、好奇心で購入。
どう考えても現実味のないファンタジーのような「タンジール蜜柑共和国」から出発して、それらが何を意味していたのかを探り、ついにはある殺人事件に行き着く...という展開が独創的で、また、語りが軽やかで面白いためついついページを繰る手が止まらなくなる。
総括して普通に面白くオススメしやすいのだが、なんというか、逆に言うこともないというか...斜め屋敷もそうだったけど...
なので、感想も簡潔にまとめます。
面白いのは、やっぱりエゴンマーカットの不可思議な物語を読み解いていく過程と、ユニークな殺害状況。最初はちんぷんかんぷんだった、タンジール蜜柑共和国の物語がラストに向けて綺麗に収束していく様は圧巻。
ただ、ある人の来歴が示されたところでちょっと真相が見えてしまうのと(ある意味フェアな伏線だけど)、偶然が多く重なり過ぎてるのがちょっと気になったかな。
島荘はまたちょっとずつ読むかもだけど、なんかどれも感想に力が入らんですね。