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日々雑感(ミステリ感想中心)

名探偵はもういない(霧舎巧/講談社)

46.名探偵はもういない(霧舎巧講談社

総評:★★★☆☆

オススメ:「雪のペンション」「名探偵」「読者への挑戦状」というワードに心躍るあなたへ。

 あらすじ(引用)

犯罪学者・木岬と義弟の敬二少年は、雪崩に道を閉ざされてとあるペンションに足止めされる。ワケありの客が集う雪の山荘では連続怪死事件が発生!はたして「名探偵」は奇妙な事件の謎を解けるのか!?あえて真相への手がかりを提示する“読者への挑戦状”付きで贈る、霧舎巧エッセンスにあふれた名作。

 

タイトルに惹かれて購入したものの、うーん…

読者への挑戦状が付いていたり、登場人物を自分で記入するギミック、意表をつく被害者、わくわくさせる展開なので、読み進めるにつれて期待度は上がっていったが...風呂敷の畳み方が下手だったかな。

 

感想をググってみたけど、文章が上手くないことで有名な人らしく。まぁ言われてみると実際読みにくい文。ていうか、何が起きてるのかすんなり入ってこない。

謎解き部分が一番顕著で、理詰めで犯人を限定しようとしてるのに説明が微妙に下手なので、爽快感がない。残念。

あとは人物描写がなぁ...いや、ミステリに文学性を求めてるわけじゃないんだけど、感情移入できるキャラがいないし、魅力もあんまり...。個人的に、恋愛が絡みすぎるミステリが肌に合わないんだな。

 

面白かった点もある。一番は、やっぱり「名探偵」の存在かな。タイトル通りの作品なので、そこだけは良く出来てたし評価できる。この前読んだ、「名探偵に薔薇を」とも近しい作品(クリックで以前のレビューに飛びます)。

他にも、冒頭で書いた通り「雪山の山荘」「連続殺人事件」「脅迫状」「読者への挑戦状」というミステリ定番のギミックがこれでもかと詰め込まれてるのは楽しかった。あとまぁ、真相も割と意表をつくものだとは思う。うーん、でもなぁ...

長い話でもないので、まぁ読んでみてもいいかもなという感じ。積極的にオススメはしない。「もっとよく出来たのでは?」と思ってしまって、なんか色々もったいなかった。

 

 

名探偵はもういない (講談社文庫)

名探偵はもういない (講談社文庫)

 

 

 

※以下ネタバレあり感想

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

登場人物の大半が無意味な駒だったのが本当に惜しい。しかも犯人は自殺してるし、肝心の木岬は事故で足を滑らせたという。

ん〜〜〜???

 

いや、ていうか、一番納得いかなかったのはやっぱり木岬なんだよ。木岬が何やりたいんだかよく分かんなかった。

自分を名探偵だと証明するために死体を偽装するって、それはさすがにどうなんだ??そもそも木岬は琴沢夫人が他殺だったこと分かってそんなことしたのか?自殺だと思ってたなら余計に死体弄って何がしたいのか。ていうか、そんなことしてたことがわかった段階で感動するか?しないし、軽蔑するだろ...

どうも、木岬が魅力的に見えなかったので、批判的になっちゃうな...こいつがロクでもないことしたせいで事件がこんがらがるし。

 

それと、やっぱり無意味なキャラが多いんだよね。

早芝とか笹後姉妹のアリバイ、ちゃんと確認してたっけ??ていうか、話にもあんまり関わってないし...キャラを扱いきれてない感が強い。全員が琴沢夫人に脅迫されてたから動機がある...ように見せかけて、あんまりそこを強調しないし。

無意味な設定が多かった割に、それがキャラの特徴に結びついてないんだよね。うーん。

 

あ、エラリークイーンについては余りにアレすぎて言及する気にもならないです...ワクワクしたのになぁ。

実は怪盗でした、って展開は面白かったけど、まぁよくそんな大御所出す気になれたなぁ...

 

 

何度も書いてしまうけど、色々惜しかった作品。やりたいこととかネタは評価するけど、技量が足りなかったように感じる。