70.月光ゲーム(有栖川有栖/東京創元社)
総評:★★★★★
オススメ:ガンガン人の死ぬクローズドサークル。名作の冠にふさわしい一作。
あらすじ(引用)
夏合宿のために矢吹山のキャンプ場へやってきた英都大学推理小説研究会の面々-江神部長や有栖川有栖らの一行を、予想だにしない事態が待ち構えていた。矢吹山が噴火し、偶然一緒になった三グループの学生たちは、一瞬にして陸の孤島と化したキャンプ場に閉じ込められてしまったのだ。その極限状況の中、まるで月の魔力に誘われでもしたように出没する殺人鬼。その魔の手にかかり、ひとり、またひとりとキャンプ仲間が殺されていく…。いったい犯人は誰なのか。そして、現場に遺されたyの意味するものは何。
え〜〜〜最高なんだが...???(語彙力の喪失)
孤島パズルがあまりに良かったので、学生アリス第1作目も今更履修。いや...さすがに超超有名作だけあって...非の付けどころがないですね...
自分は元々、飛び道具的な「一行でどんでん返し」系のミステリが好きなので、いわゆる物理トリックや純粋なパズラーは敬遠しがちだったのだが、やっぱり正統派ミステリはそれでも面白かった。良い。
というか、孤島パズルでも散々褒めちぎったけど、文がすごく読みやすい。そして大学生の描き方が良い。(正直人数が多すぎて途中で誰が誰だか分からなくなって何度も読みなおしたけど、それは私の頭がよくないせいなので。笑)
あのぼんやりと楽しく、まだ自分が何者かも定まっていない宙ぶらりんな大学生のモラトリアムがよく描けていて、青春小説としても素晴らしかった。
しかも火山の下でのクローズドサークルという、かなり特殊環境下でのミステリなのも面白かった。
殺人鬼が紛れているかもしれない、という恐怖以上に、自然災害による命の危機もある。果たして一行は無事下山できるのかーー!?
まぁとにかく、それ以外にもページを繰る手が止まらない、息をつかせぬ展開が目白押しなので、まだ読んでいない方がいたら是非。いや、ミステリファン的には今更な一冊だとは思うが。笑
トリックに驚愕!というよりは、純粋に読んでいて面白い小説だったので、今回はネタバレ感想は特になし。
なお、このあと、最高傑作と名高い「双頭の悪魔」、作家アリスシリーズ1作目「46番目の密室」も読んだけどどっちも良かったな~…(キャラ小説としてはあんまり好みじゃないけど、展開がすごい痺れる)やっぱ有名作は有名作の理由があるんやなぁ……