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日々雑感(ミステリ感想中心)

そして扉が閉ざされた(岡崎二人/講談社文庫)

41.そして扉が閉ざされた(岡崎二人/講談社文庫)

総評:★★★☆☆

オススメ:密室×ミステリ。緊迫の中交錯する人間関係をお楽しみください。

 

あらすじ(引用)

富豪の若き一人娘が不審な事故で死亡して三カ月、彼女の遊び仲間だった男女四人が、遺族の手で地下シェルターに閉じ込められた。なぜ?そもそもあの事故の真相は何だったのか?四人が死にものぐるいで脱出を試みながら推理した意外極まる結末は?極限状況の密室で謎を解明する異色傑作推理長編。 

 

うーーーーん、期待して読んだ割にはがっかりだったかな...(いきなり)

ううう...岡嶋二人の名前はミス板でちょいちょい見かけてたので、どれか読んでみようとは思ってたのにこんな出会い方は良くなかったかも...というくらい肩透かしだった。ううむ。

ただ、そのがっかり感はミステリとしてのがっかりではなくて、登場人物がクズだなっていうがっかりなので、壁本ではないです。念のため。

あと文章や設定、人間関係が面白いのでサクサク読み進められるのはいいね。地下シェルターに閉じ込められた男女四人が、数ヶ月前に亡くなった共通の友人である女が事故死だったのか殺人だったのかを推理し合うという流れ。

閉じ込められる話ではあるけど、推理する事件自体は密室でもクローズドサークルでもないので、これは何にカテゴライズすれば良いのかな...

 

真相はなかなかユニークかつ意表をつくものではあるけど、個人的にはちょっと気に入らない終わり方だったかなぁ。人物描写が細かいだけに、なんかもうちょっと好きになれるキャラクターにしてほしかった。まぁミステリだからそんなんどうでもいいっちゃいいんだけど。でも千鶴ちゃんとか正志くんに感情移入しちゃったのでしんどかった。

トリックもちょっと不満があるけど、それ以上に「何でこの人こんなことしたん...」感が強かったかな。50点。

 

そして扉が閉ざされた (講談社文庫)

そして扉が閉ざされた (講談社文庫)

  • 作者:岡嶋 二人
  • 発売日: 1990/12/04
  • メディア: 文庫
 

 

※  以下ネタバレ感想

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや、やっぱ何と言っても鮎美が胸糞すぎませんかね。雄一もだけど。出会って数日なのに、正志くんを見捨てて雄一の殺人をかばって、あろうことかその手助けを正志にやらせるという。正志可哀想かよ。

あと千鶴ちゃんも終始蚊帳の外で不憫だった。本当に今回の事件に全く関係なかったのに、一緒に閉じ込められて、鮎美ちゃんを取り合う男二人に振り回されるとかひどいだろ。咲子からの扱いも可哀想だったし。最後の最後で千鶴ちゃんにスポットライト当たるかと思いきや、特になく終わったし、なんなん。てか、ラストシーンとかこれだからね。

 

千鶴が、雄一と鮎美のところへやってきた。鮎美の反対側から、千鶴は雄一に抱きついた。

 

いやいやいや???なんで???正志くんは??千鶴ちゃんにまで抱きつかれて雄一どんだけモテんの??言うなれば雄一と鮎美のせいで千鶴ちゃん無意味に監禁されてるんだよ??

という感じに、どうも雄一と鮎美が好きになれなくて読後にモヤモヤ感が残ったね。

トリックもチープといえばチープ。突き放した時に偶然アイスピックが後頭部に刺さって死んでしまい、それを見て殺人だと思い込んだ鮎美がなんやかんやしたせいで謎の事故死になってしまいましたとさ。うーん。

あとね、咲子母が復讐?のために四人を閉じ込めたのも意味分からん。やりすぎだろ。この部分だけ妙にリアルじゃなさすぎて、実は違う人が閉じ込めたんだろうなぁと思ってたのにそのままでした。捻ってほしかったなぁ。

 

色んなところで今一歩な作品だった。惜しい。次は何読もうかな。