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日々雑感(ミステリ感想中心)

生存者、一名 (歌野晶午/祥伝社文庫)

40.生存者、一名 (歌野晶午祥伝社文庫

総評:★★★★☆
オススメ:「絶海の孤島」「サバイバルゲーム」の単語が好きなあなたへ。短いのでさくっと読めます。

 

あらすじ(引用)

鹿児島の遙か沖の孤島、屍島に六人の男女が降り立った。彼らは都内で爆弾テロを行なった四人の実行犯と二人の幹部だった。翌日、幹部の一人が船とともに姿を消し、残りの五人は文字通り絶海の孤島に閉じ込められた!組織に対する疑心と、食料をめぐる仲間同士の暗鬼。やがて、一人また一人と殺されていく…。犯人は誰か?そして、最後に生き残る者は。

 


久々に歌野。

どんでん返し系が読みたくて選んだ一冊だが、「そして名探偵は生まれた」という中編集にも収録されているみたいなのでそっちを買った方がよかったかも。凄い短いので30分くらいで読み終わってしまった。

で、まぁ感想ね...うーん...…星4にはしたけど3.5という感じか。

ミステリ定番の「絶海の孤島物」「クローズドサークル」なので、設定はかなりわくわくした。しかも、集められた登場人物たちは新興宗教で大規模テロを実行した犯人たちという珍しい設定。

初っ端から新聞記事で始まり、果たして6人のうち誰が「生存者一名」なのか?を推理するミステリで、やっぱり歌野らしく見せ方が上手いなぁという感じ。

ただまぁ、逆に言うと歌野だからなんとか一本にまとまったけどさぁ...見せ方が下手だったらクソだなこれは...感はちょっとある。

オチも賛否両論かもなぁ。私は歌野らしくて割と好きだけど、全体的に言うとブックオフで100円なら買ってもいいんじゃない?というところ(実際100円で買った)。

 

生存者、一名 (祥伝社文庫)

生存者、一名 (祥伝社文庫)

 

 


※ 以下、ネタバレ感想

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


てかさ、クローズドサークルもので出産して1人増えましたオチはもう何回めだよって感じなんだけど......(最近でもそういうの読んだから...)

でも特にトリックらしいトリックはないのに、新聞記事の演出で盛り上げるのは上手いかな。ただ逆にいうとそのせいで終盤は答えが絞られていくんだけど。

 

最初の新聞記事「死者5名、生存者1名」

=関口を含む6人のうち、5人が死に1人が生き残った?生存者1名とは?犯人は?

中盤「関口逃亡、森脱出」

=あれ、数減りましたけど...

終盤「森は戻ってきていた説」→森も島内で死んでました

=え、じゃあ関口が実は戻ってきてて6人に戻る?生存者は関口??

終盤「関口は船強盗に殺されました」

=ファーーーwwwwww数合わねぇwwwオイオイwww①島内に実は他にもいた、②叙述トリックあるあるの実はもう1人いた、③妊娠出産で1人増えた、のどれかじゃないだろうな

 

ラスト

=③ で し た \(^o^)/

 

はい。まぁしょうがないね。でもろくな衛生用品もないのに出産できんのか??あと出産してるってことは10ヶ月以上は島でサバイバルしてたことになるけどそこまで食料もつのか?

あんま細かいこと突っ込んじゃダメか...この環境じゃ普通に死産しそうだけどね。お産なめんな。

 

まぁでも、ラストの春仁くんには笑いました。どっちの子か分からない演出。

三春は仁美と入れ替われば関口に助けてもらえるはずと目論むが、実際には関口は船強盗に殺されているので警察あたりが助けに来ているのかな。死者5名とあるので三春も仁美も死亡しており産んだ女性は出産直後に亡くなったような言い回しになっている。...いやぁ、子供そんな状態で助かるのか...??いいけど。

 

新聞記事のはさみ方とか設定は面白かった一方、割と雑なところも多かったのが惜しいところ。殺害方法全部セックス中に刃物でざっくりだもんなあ。そんなうまくいくかよ。

 

どんでん返しも面白いけどそろそろまた叙述トリックが読みたくなってきたので、また面白いの探してきます。