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日々雑感(ミステリ感想中心)

THE CITY (フリーゲーム/@ligne_1984)

番外編2.THE CITY (フリーゲーム/@ligne_1984

ミステリじゃないので番外編。前回の「One week, My room」と比べてミステリ要素もないけど取り敢えずまとめておこうかと。

総評:★★★★☆ 総プレイ時間:周回含め1~2時間程度

オススメ:言葉の通じない不思議な世界を探索したい方へ

 あらすじ(引用)

フリーゲームですが、上記作者さんのツイッターから直接ファイルページに飛んでDLする形式です。

 

ゲームの嗅覚がいい友達が紹介していたので満を持してプレイ。

キャラアイコンも可愛いしフリゲっぽいドット絵も好きだったので、わくわくして進めてたんだけど、色んな意味で裏切られた。あとで作者さんのHP飛んだら「不快な描写があるかもしれません」という注意書きがあって、ああ…ってなった。露骨なエログロ描写は一切ないけれど、私はちょっとしんどかった。

メッセージ色が強く展開が斬新だったので、考察とか好きな人はやってみる価値はあるかと思う。ちょっと難点を上げるなら、「マップ上でうごける範囲がちょっとわかりにくい(行けそうなのに行けないところとかある)」「基本動作の説明がない(見落としだったら申し訳ない。最初ESCキーで戻れることに気付かなくて詰んだりした)」あたり。

あとタイトルで感想や攻略を検索できないので、自分が100%探索できたのか自信が持てないあたりが個人的にはちょっと心残り。一応ED3種見てから感想を書いてるけど、4種目があるとかツイで見かけたので探索が多分足りてないと思う。うーん。ゲーム下手なんだなぁ。

 

 

 

※ 以下、ネタバレ感想

 

 

 

 

7月17日追記)

もしかして、攻略情報とかを求めてここにたどり着いた人がいたら申し訳ないなと思ったので、雑な説明だけ載せておきます。基本的には一本道で、特に一週目は細かいアイテムを拾っていく必要があるので、とにかく探索してください。また、自分の回収忘れがあると思うので(弾丸見つからなかったし)、あくまで参考程度に。

一週目:一本道。バトルは全て勝たなくては先に進めないので、適当にコインを拾いつつ道具を買って備蓄しましょう。本と弾のこもっていない銃では相手の体力を削れないので注意。3戦目で商人を倒したあとも、最後に少年戦が残っているので武器を用意しないと詰みます(1撃で倒れますが)。

二週目:一周目のラストで、「ありえたかもしれないデータ」をもらって再開。言葉が分かるようになっているのでまっすぐ進むとエンディング。

三週目:二週目からの分岐。ある程度部屋を進んでいったところで最初の部屋まで引き返しましょう。異変が起こっているので、探索してください。そこで手に入れたアイテムは使えませんが、エンディングが変わります。

 この三週目は、私も友人に聞いて初めて気づいたので知らないままこのゲームを終える人も多いのではないかと思いますが、三週目のエンディングを見ないと結局この建物が何だったのか分からずじまいだと思うので是非見て、そしてビビって下さい。私はめっちゃビビりました。ホラゲだなんて聞いてない(ホラゲじゃないです)。

 

 

 

※ 改めてネタバレ感想

 

 


結論:謎の人が不気味で怖かった

「言葉の通じない世界を進んでいくゲーム」と聞いていたので、「あー、言葉が分からないなりに交流を図ったり次第に言語を理解していく感じかな?ちゃんと言葉を読み解けるようになればED分岐するとかだろうな」と思ってた。

いや、もう、その気持ちでいったからほんと心折れた。真逆だった。せっかく仲間になってくれた女の子がなんかよく分からないまま行く手を塞ぎ、バトルになるっていう。初戦が本当にしんどくて戸惑った。これ私だけか?

最初、絶対戦っちゃダメなやつだと思って本を選択し続けてたら、ちょっと会話が進んだ?けど結局体力が尽きて死んだんで、仕方なく次からガンガン戦った。つらい。この戦いで、「これ予想してたのと逆のやつだ...」ってなった。

戻りたくないからずんずん進んでたらアイテム足りなくなったんで、仕方なく戻ると...冒頭でも言った、謎の男が突然現れてすっと消えていく...と。びびりだから叫んだ。ていうかゲーム一回やめた。待って。私ハートフルなゲームかと思ってた(UTでも似たようなこと言ってたな)。こんな要素聞いてないです。しかもBGM止まるし。彼女を倒したところに花とか捧げられてるし。しんどい(二回目)。

で、挫折しかかったけど友達に「ホラーではない」って言われたので続きもやりました。2戦目の男の子戦はともかく、3戦目の商人戦がきつかったなぁ。あと弾丸が見つからなかったんだけど、あれはどこで回収するんだろう。気が向いたら探します(探してないけどやっぱり弾丸落ちてるっぽい)。商人から買ったアイテムで商人倒すのが悲しかった。商人戦でほぼアイテム使い切ってたので、ラストの小さい男の子戦がやばいと思ったら一撃だった。つらい。

もう4人も倒してるし嫌な予感しかないのでさっさと2週目でハッピールート探すからED行こうって思ったのでラストの階段とか涙目で登りました。張り紙は一応チェックしたけど、もう罪悪感が酷くて、自分のやってるのって絶対ダメルートな気がするけど他に方法なかったよね?とか悩んでた。

最後の階段登るとまた例の男が登場。

心臓止まるかと思った。トラウマしかない。しかもあのED。「後味悪いEDだなって思ったでしょ?でも世の中には知らない方がいいこともあるんだよ。ここに「有り得たかもしれないデータ」があるけどどうする?」ってもう、なんか、ほんと私ゲーム内からプレイヤーに話しかけてくる系ほんとクるんだよね...UTみたいな...(またか)好きなんだけどさ。ビビりながらデータもらって2週目。

 

今度は言葉がわかる世界線なので、やり直せるのかな?!と思ったけどそんなことはなかった。いっそのことみんな敵で嫌なやつだったっていう真相のがまだ救われるんだけど、予想通り良い人たちでさ...まぁ仲間になってくれたくらいだもんね...というわけで1週目を後悔しながら2週目終了。

 

元々私は「言葉が通じなくても伝わるものがある、言葉以外にコミュニケートの手段を探す」みたいな理想像を描くゲームだと思ってたけど、むしろ「言葉が通じないことが招いた悲劇と無理解の暴力」という世界の現実をシュミレートさせることでメッセージにしてたのかなと、2週目を終えて感じた。文章にするとありきたりなんだけど、ゲームとしては上手い。何言ってるのかわからないしどのコマンド押してもダメだから、結局暴力を選ばざるを得ない感じ。プレイヤーがしたくないことを強制させるゲーム。

 

にしても「この塔って結局本当にバベルの塔だったのかな」とか「注射器が不穏すぎるんだけど何だろう」とか考えてたら、2週目でも戻ってみたりすると変化があると教えてもらって、もう一回2週目しました。

あの部屋怖すぎないか。

いや、だから、あの、ああいうのダメなんだって。ホラーじゃん。ホラーでしょ。灰色の部屋怖すぎたから。また例の男いるし。カメラ取ったら赤い花出現するし。鳥肌立った。

で、そのまま塔の来歴についての本を拾いながら3週目おしまい。

3周目ED後に詳しく説明が入る。この建物は元々多数の外国人が働く工場で、言葉が違うハンデを背負いながらも上手くやっていた。しかしあるとき不思議なお薬が持ち込まれて、その後禁断症状に陥った人々が前後不覚のまま殺戮を始めてしまった。物には記憶が宿るという。この建物はその時の記憶をいつまでも留めているが、願わくば楽しい記憶を取り戻してあげたいものだ。...みたいな。ラストらへん曖昧なので間違ってたらごめんなさい。

 

勝手解釈。

「多数の外国人が働く工場」=近代以降の国際分業体制が確立した世界、「薬物」=世界の限られた資源、「禁断症状に陥り殺戮を始める」=資源の奪い合いと戦争
かな。ちょっと安直な解釈しすぎたかも。

 

以下疑問点など。

・商人と謎の男の関係

2人とも呟くセリフ「...あのバカ。」が気になってる。注射器をくれるのは商人。商人が死んだあと備えられる花は赤。

・BGMが変わる

窓から見える景色に応じてBGMが変わる1周目。仕掛けとして面白かったけどどう関わってきたのか分からなかった。探索が甘かったらごめんなさい。

・結局「塔の上へ昇って、言葉が分かるようになる」とは何だったのか

主人公の行動原理。一度塔に入ると出られず「上へ昇って言葉が分かるようになりたい、分からないのは怖いから」をバトル中も繰り返す。薬物の件と重ねると微妙に齟齬があるような、納得できるような。

①薬物によって周りが見えなくなっているため、「周りの言葉が分からない(事実)」「みんなが邪魔をする」と思い込んでいる → 何をしようとしていてみんなは邪魔をしている(ように見える)のか?

②塔の上へ昇ることをみんなが邪魔する(事実) → 何故邪魔されるのか?不都合なものがあるわけでもないから、命を賭してまで邪魔する理由が分からない。

③分からないのは怖い、言葉をわかるようになりたいという主人公の行動原理 → 至極真っ当。邪魔をしてきた仲間も言葉が分かればいいのにと言っていた。一緒に塔の上に行けば(それが解決にならなかったとしても)いいじゃんって思ってしまった。

④そもそも何故主人公は塔の上へいけば言葉が理解できるようになると信じているのかか

この辺よく分からなかったので、やっぱりED回収抜けとかあるのかな。うーん。

 

取り敢えずの感想メモでした。長くなってしまった。演出が上手かったです。

 

追記)「言葉は本当に万能か?」というのが本テーマだと思った。「言葉を知りたい主人公」⇔「言葉が分からないなりに上手くやってきた今まで」っていう対立軸。皆を理解しようと万能の言葉を追い求めた結果、殺戮に至ったというのが重い。言葉が分からなかった頃の方が余程謙虚で相手の気持ちを思いやっていたのに、傲慢にも万能の言葉を求めたばかりに崩壊が始まるという感じなのかな。

あと、この世界において「神」は多分薬物のことなんだけど、言語も「神」が与えた罰なんだよな(バベルの塔の話)。

ちょっとこのあたりが上手く噛み合っていないんで、テーマ盛りすぎなのかな~と思ったけど世界のカオス感が上手く示されているような…うーん。