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密室殺人ゲーム・マニアックス (歌野晶午/講談社文庫)

6.密室殺人ゲーム・マニアックス (歌野晶午講談社文庫)

総評:★★★☆☆

オススメ:『密室殺人ゲーム2.0』を読んだあなたへ

※『密室殺人ゲーム』シリーズの外伝的位置づけなので、必ず『王手飛車取り』、『2.0』を先に読むこと

 あらすじ(引用)

殺人推理ゲーマーがさらなる一線を越えた 驚愕のラスト!! 

「密室殺人」シリーズ第三弾!! 

 

<頭狂人><044APD> <ザンギャ君><伴道全教授>。奇妙なハンドルネームを持つ5人がネット上で日夜行う推理バトル。出題者は自ら殺人を犯しそのトリックを解いてみろ、とチャット上で挑発を繰り返す! ゲームに勝つため、凄惨な手段で人を殺しまくる奴らの命運はいつ尽きる!? 

 

第10回本格ミステリ大賞受賞 

 

2010本格ミステリベスト10 第1位

 

ざっくりとした感想としては、本書全体に仕掛けられたトリック及び構成は悪くないものの、前作2冊があまりに良い出来だったので肩透かしと言わざるを得ない。

というか、基本的に個々の事件に面白さがない。読ませ方はさすがに上手いなぁと思ったが、今作は外伝ということでちょっと趣向を変えてみたというところか。

1作目2作目と日を置かずに読んだ方が面白いが、過度な期待はしない方がいい。それくらいに出来が違う。

 

密室殺人ゲーム・マニアックス (講談社文庫)

密室殺人ゲーム・マニアックス (講談社文庫)

 

 

 

※ 以下ネタバレ感想

 

 

 

 

 

 

2.0で2代目チャットメンバーに移行したため、今作はどんな叙述トリックを使おうが驚かせようがなかろう、と思いきや、今度は1人5役という離れ業を駆使したのはお見事。

また、今まで閉鎖空間の中で5人のチャットが進行していたのに、今作品はそれを動画配信し開放したのも上手い。1人5役もここで活きてくる。

ただ、前述した通りトリックが小粒なのが残念。実質3回しか事件は起きないし、第1章はロボットによる遠隔殺人(積み上げた本によって天井を凶器にするという発想は面白いが)、第2章に至っては録音音声によるアリバイ作り、透明マントを使用した犯行、とトンデモトリック。

作中にもあるように、トリックの面白さというより、アンチミステリ的な要素が全面に出ており、1作目2作目で期待されていた作品ではないと感じた。

 

まぁ分厚くない段階で察してたけど。

 

早く新作書いてくださいお願いします。