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日々雑感(ミステリ感想中心)

キミガシネ -多数決デスゲーム- (フリーゲーム/ナンキダイ)

番外編7.キミガシネ -多数決デスゲーム- (フリーゲーム/ナンキダイ)

ずっと気になっていたフリーゲーム。ミステリ要素がないこともないので番外編ということで。

総評:★★★★☆ 総プレイ時間:6時間

※2020年1月現在2章後編までしか公開されていません。完結している作品をやりたい人はご注意。

おすすめ:ダンガンロンパ人狼逆転裁判が好きな人にはオススメ。

 

あらすじ(ニコニコ動画RPGアツマールより引用)

多数決で選ばれた者が死ぬ。
集められた11人の人間が自分の生存をかけて舌戦を繰り広げる トークアクション・レトロホラー。

 

↓から無料でプレイすることができます(ニコニコ動画のアカウントが必要かもしれません)

game.nicovideo.jp

一言でいうとフリーゲームダンガンロンパという感じ。

ダンガンロンパに比べるとミステリ要素は乏しい(というか殺人事件が起きたりはしない)ものの、演出のえげつなさが要所要所光っていてある意味ダンガンロンパ超えしている部分がある。

ダンガンロンパとばっかり比べるなよという声もありそうだが、いや、本当あからさまにロンパを踏襲したゲームスタイルだから…

 

もうちょっと詳しく紹介。

ざっくり探索パート・メインゲーム(多数決デスゲーム)パートの2編に分かれており、メインゲームでは人狼よろしく各役割を推理しながら「誰を殺すか」を多数決で決める。

ロンパとちょっと異なる点としては、以下の3点。

①殺人事件が起きるわけではないので当然ながら「事件の犯人」がいるわけではなく、メインゲームで選ばれる人は「何か悪いことをしたわけでもないのに、ただ多数決で選ばれたというだけで殺される」。

②メインゲームにおける役職配分による思惑の交差。特に「身代」の立場。

③(2章後編時点においては)生存者のパターンが複数存在するマルチエンド方式であること。

①②はこのゲームが「ミステリ」ではなく「ホラー」になってしまう所以のような気もするので賛否両論ありそうだが、③は非常に珍しい評価するべき点だと思う。

この手のデスゲーム系は生存パターンが決まっていて一本道なことが多いと思うんですよ。

プレイヤーとしてはマルチエンドの方が絶対に嬉しい(お気に入りな子を生存させたいし、絶対に死ぬキャラがいるのは淋しいので)のだが、ルート分岐を作ってしまうと各章ごとの議論パート(今回のゲームで言うメインゲームパート)も丸ごと作り変える必要があり、シナリオがめちゃくちゃ大変になる。

それをおしてでも、分岐を作ろうとしているようなので(もしかすると現在発生している分岐のうちいくつかはあっさり終わってしまう短いシナリオになってしまうかもしれないけど)、その意欲的な部分は非常に好感がもてる。

 

あとは演出がとにかくすごい。素晴らしいえげつなさ。なんでこんなシステム作ったよ、みたいな。

分かる人にだけ分かるようにいうと、ロンパ2のラストとか、v3序盤のデスロードの部分って「ゲームならでは」の要素でプレイヤーに畳みかけてくる演出があるよね。あれ的なものをフリーゲームでできる範囲のやり方で作ってきたのがすごい。

 

ミニゲーム部分がちょっとだるいとか(ほとんどクリックゲー)、ダンガンロンパのような「意表を突く事件!鮮やかな推理!」みたいなものは期待できないというマイナス部分はあれど、フリーゲームなのでやってみて後悔はないと思う。おすすめ。

 

 

 

 

 

※以下、ネタバレ感想(攻略情報や考察は書いてません)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんといっても、

・ジョーの処刑シーンで「延命スイッチ」を連打させる

・ナオの処刑シーンで「即死スイッチ」を押させる

・(ルートによっては)レコの姿をした人形を突き落とす

をプレイヤーに強要してくるところが演出上神がかってるよね…。

ネタバレなし感想でも書いたけど、ダンガンロンパv3の「絶望のデスロード」を何度もチャレンジするけど無理ゲーになっているのでどうしてもゴールにはたどり着けず絶望させられる状況を思い出した。

 

それと、ロンパでは「オシオキさせられる人物」=「殺人事件の犯人」なので指摘することへの罪悪感は多少減るのだけど(自分だけ逃げだしたくて殺人をするケースもあるし)、キミガシネの場合には「全く悪くないけど、誰かが犠牲にならないとみんなが死ぬ」という理由で理不尽に殺され、なかなか心がしんどい。

特に「身代」は引いた段階でかなりの高確率で死ぬしかないので、より可哀想でつらい。まぁジョーのことなんですけど。

というか、思い返しても第1章でカイが死ぬ必要なかった気がするよね…賢者だから安全牌というだけで選ばれたんだったと思うけど、人狼ゲームと違って賢者だろうが平民だろうが変わらないわけで…

1章後半の展開を見る限りでは、サラが鍵番、ジョーが身代確定だったので、カンナでもよかった気がするんですけど(特にカイは相手方組織のことを知っている風だったので残しておいた方が全員にメリットありそう)。

 

あと唸ったのは幻影システム。ホラーじゃん!!!!????ミステリゲームって聞いてたんですが?????いや、でも、これトラウマの描き方として秀逸だよね…

1章の間はジョーが出てくるとほっとしたんだけど、2章に入ってからはただただ恐怖の対象になってしまってちょっと申し訳ない。と共に作者の手のひらで転がされている感がすごい。ゲーム作りうますぎでは???

 

マルチエンド方式の上手いところとしては、1章ではだれに投票してもカイさんが死んでしまうわけだけど、そうなると「自分が殺した」感が少なくてそこまで悲しくないんだよね(可哀想だけどシナリオ上救えないしな~という諦観がある)

ところが2章後半の投票、あれ、酷いよね。

だって自分が選んだ子が自分の投票で死んでしまうわけですよ。しかも(繰り返しになるけど)ロンパと違って殺人犯でもないから、決め手もなく自分の意思で誰かを選んで殺して進まなくてはいけない。つらあ…

これ、マルチエンドでないなら本当に罪悪感が半減すると思うんですよ。マルチエンドならではのしんどさ。自由度があるだけに、「お前が選んでお前が殺した」感がすごく強い。

小説でもアニメでも映画でも絶対にできない、「ゲームならでは」の見せ方ですよね…選択肢のえげつなさとしてはOneShotを思い出してしまった。

因みに自分はめっちゃ悩んだ末にカンナちゃんに投票しました。ソウに生き延びてほしくて…完全に自分の好みで選んでしまった…

しかし、生き延びてほしくて投票したのにソウにはめちゃくちゃ罵られて恨まれて挙句ジョーの幻影を見せられるという、なんかもう、よくこんな性悪シナリオ作ったな?!!(褒め言葉)って感じですね。

あとソウは最初狛枝と王馬を足して2で割らない感じのキャラだなって思ったけど(演出的にも作者自身、その辺を重ね合わせていると思うけど)、第2章を終えた今では、そういう「強キャラ」を目指したけどなれなかった一般人だったんだなと悲しい気持ちになった…生存率0%だもんね…

 

考察とかはする気がないので、感想の垂れ流しになったけど、とにかく演出・システムが非常によくできている印象。ロンパ特有の学級会システムも、フリーゲームでできる範囲で踏襲しているのがすごいよね(アイテムをぶつけたり、キャラのセリフを記録してぶつけたりするところ)。

3章でどんな展開にしてくるか楽しみ。個人的にはジョーが人形として生き返る説、序盤で見せしめとして殺されてしまったミシマ先生黒幕説あたりは実際にありそうだなと思ってわくわくしてます。

 

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<とても長い余談>

人狼ゲームと同じような感じで、「メインゲーム」の進行方法としての鉄板の動きを考えてみたが、長くなりすぎた上に考察しきれてないので参考まで。多分色々間違っている。

人狼と違って「身代が任意の市民と逃げ延びられる」のがルールとしてかなり面白い。

 

【予選の思考】

<「身代」以外の陣営:「身代」と「鍵番」を吊らないことが勝利条件>

①鍵番を見つけるためには正しい賢者を見つける必要がある。賢者候補を予選までに落としておけばよい。一方で賢者が本戦に残ってしまうと、「吊り対象として安全牌」と考える人が出てくるため、本当の賢者が名乗り出ない可能性が高くなる。

②身代を予選までに落としておけば勝率が跳ね上がる。

以上を踏まえると、「とにかく怪しい人物は予選までに落としておけ」(※)という思考方法になる。

一方で、「市民」「賢者」を吊りたいので、「身代or鍵番である」という嘘を吐いて予選落ちできれば自分自身は完全に安全圏内に入ったことになる。

③ただし、本当の「身代」であれば「自分は身代だ」とカミングアウトするメリットがないので、「賢者」役の誰かと組んで「鍵番だ」というのを信じ込ませる方がやりやすい。

⇒「賢者」「鍵番」連係プレーが横行しがちになるはず。ただし賢者側は吊られる安全牌にもなるので、立場的には賢者役<鍵番役

<「身代」陣営:吊られることが勝利条件>

なんとかして本戦に残る必要がある。

④※を踏まえると、予選ではあまり目立たない方が良い。

⑤騙るとすれば③を踏まえて、「賢者」「鍵番」連係プレーで「賢者」を騙るのが良い。この作戦のメリットとしては、自分が吊られたら救えるもう一人として、相棒の鍵番役を指定すれば二人勝ちになるところ。

 

③⑤を踏まえると、「賢者ー鍵番」を名乗る組み合わせが複数出てくるはずで、最低でも「自称鍵番」(生き残りたい市民or本当の鍵番)を落として本戦に進むのが王道パターン(★)。そしてこのパターンが王道であるということは、身代は鍵番を自称するメリットがないのでより強固な思考方法になる。

 

9人村として、例えば以下パターンが考えられる。左側の5名が本戦出場者。

(A)賢者を自称する身代が本戦に残ったパターン

   賢者(本物)-鍵番

   自称賢者(身代)-自称鍵番(身代陣営・市民)

   自称賢者(市民)-自称鍵番(市民)

   市民(任意)×2

(B)賢者を自称しない身代が本戦に残ったパターン

   賢者(本物)-鍵番

   自称賢者(市民)-自称鍵番(市民)

   市民(身代)

   市民(任意)×2

(C)身代が落ちるパターン…何もしなくても75%以上の確率で、予選落ちした市民が生き残れるボーナスステージ。市民or賢者が予選残り。

 

(D)賢者が落ちるパターン…(★)を踏まえると可能性は低いが、第2章後半のように鍵番を確定しやすいので、市民の逃げ切り率がちょっと上がる。

 

最終的には運ゲーだけど、基本的には「本戦まで残った「市民」が殺されがち」となるか。※①市民を名乗ったまま身代が本戦まで残るのが難しい、②市民を名乗ったまま本戦でも市民のままということは協力者がいない可能性が高く、そういう人物は今後も「不要」と思われやすい。

 

ライアーゲームのような「必勝法」を考えるとすると、「賢者を名乗る者は本戦まで残すが殺さない」とか先に設定しておくのはどうだろう。

逃げ切りたければ市民も「賢者」を名乗るので、奇数人村であれば以下の通り。

・賢者(本物)-鍵番(本物)×1組

・賢者(偽)-鍵番(偽)×任意組

・協力者が得られず余った市民

単純に考えると、市民の動きとしてはなんとしても協力者を得て偽賢者になることを目指す。

もし9人村で、賢者―鍵番が4組、協力者が得られなかった「市民」が1人出た場合、この「市民」が身代であることが分かれば市民は勝ち確定なので、偽物組もお互いが市民であることを名乗ればおしまい。

ただ、4人の自称賢者のうち誰かを吊る必要があるので、結局身代は偽賢者になることを目指すことになる。

となると結局、最終的に賢者だろうが市民だろうが、身代が紛れている可能性は同じくらいあるので、運ゲーもしくは身代協力者を市民協力者に鞍替えさせることになるのかな。

ただ、この方法なら鍵番は確実に落とせるから多少は市民の生存率が上がるか。

 

賢者が同陣営の鍵番を確実に知れるのは大きいよなぁ。人狼で言うところの共有者と占い師を兼ねてるみたいなものだし(共有者と違って一方的だけど)。

本物の鍵番と協力関係になったあと、本物の賢者が片っ端から「自分が偽賢者になるから偽鍵番になってくれないか」みたいな交渉をするのはどうだろう…身代だったら一瞬悩むし、本物の市民なら是非もなく賛成すると思うんだけど…

逆に身代も々動きをすると思うけど、結局身代の協力者がどれくらい強く身代を信じてくれるかどうかにかかってるかな…身代協力者って鍵番吊らない限り勝ち確で強いんだよな……

 

色々考えてみたけど、2章になるとこれにさらに交換要素が出てくるからまじで必勝法が思いつかないですね…交換すると相手の手持ちも確認できる上、コイン数によっては2回以上交換できるし…

 

人狼強者にこの辺の考察を聞いてみたいところです。