35.キングを探せ (法月綸太郎/講談社文庫)
総評:★★★☆☆
オススメ:ロジカルな王道ミステリを読みたい貴方へ
あらすじ(引用)
繁華街のカラオケボックスに集う四人の男。めいめいに殺意を抱えた彼らの、今日は結団式だった。目的は一つ、動機から手繰られないようターゲットを取り換えること。トランプのカードが、誰が誰を殺るか定めていく。四重交換殺人を企む犯人たちと、法月警視&綸太郎コンビの、熾烈な頭脳戦をご堪能あれ!
うーーーん...
スマートな推理小説だったけどいまいちどんでん返しには欠けるというか...秀作なものの、引っかかるポイントがなく終わってしまった感じ...
交換殺人という、探偵側にしてみればかなりややこしい上に足がつきにくい犯罪が計画されるものの、様々なアクシデントから綻び始める点はなかなか面白い。特に終盤で飛び出すある真実には驚かされた。しかもちゃんと伏線もある。
また、犯人たちにいちいち同情してしまうほどキャラクターが生き生きしているのも見事。個人的には「イクルくん」以外は、「そりゃ殺したくもなるわ...」みたいな動機を持っていて切なくなった。
あと、なんといってもタイトルが秀逸。個人的には、『葉桜の季節に君を想う』以来のキレッキレタイトルだと思う。(以前のレビュー:葉桜の季節に君を想うということ (歌野晶午/文春文庫))
と、まぁ上手い展開ではあるものの、どうにも印象が薄くなってしまったのは綺麗すぎるストーリーと偶然要素が重なりすぎてる点か。
法月綸太郎はどこかで読まなきゃいかんな〜と思って手に取った一冊だったが、次はまたCCモノみたいなコッテコテのを読みたい。