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日々雑感(ミステリ感想中心)

倒錯のロンド (折原一/講談社文庫)

13.倒錯のロンド  (折原一講談社文庫)

総評:★★★☆☆

オススメ:眩暈のするようなミステリを読みたい方へ

 あらすじ(引用)

精魂こめて執筆し、受賞まちがいなしと自負した推理小説新人賞応募作が盗まれた!? ──その“原作者”と“盗作者”の、緊迫の駆け引き。巧妙極まりない仕掛けとリフレインする謎が解き明かされたときの衝撃の真相。鬼才島田荘司氏が「驚嘆すべき傑作」と賞賛した、本格推理の俊鋭による渾身の長編推理小説。(講談社文庫)

 

『倒錯の死角』を先に読んでしまったので、倒錯シリーズ第1作として改めて読了。

(レビュー:倒錯の死角(アングル) (折原一/講談社文庫)

...正直、処女作だけあって出来が荒かった感。某サイトのオススメの中にこの作品があったのはちょっと理解できない。まぁ確かに他に類を見ない捻った構造ではあるけど。『倒錯の死角』で期待度上げすぎたかもしれない。

ある作品の盗作を巡って被害者と加害者が倒錯を重ねるという構造は面白い。『倒錯の死角』でもそうだったけど、誰が被害者で誰が加害者なのか混然としてくる感じは本当に上手い。まぁ今回は動機弱くない?と感じる点もあったが、そもそも個人的にはミステリで動機については評価対象外なのでそんなに気にはならなかった。

ミステリー慣れしていないと読みにくいが、ミステリー慣れしていると真相がうっすら見えてしまうというのが難か。

 

倒錯のロンド(講談社文庫)│折原一│Amazon

 

※ 以下ネタバレ感想

 

 

 

 

 

 

 

叙述トリックの代名詞・折原一のデビュー作ということで、非常に凝った叙述トリックだったのは「らしいな」という感じ。

それにしても、城戸いいやつだったのになー!!!あっさり殺されちゃうし後半ではほぼ忘れ去られるし可哀想にもほどがある...

「白鳥が盗作をしていない」っていうのは白鳥の心内文を見てればまず気付く点かな。永島がPNを考えるときに、読書が好きな女の子から「そのPNはちょっと...」って言われたところでも実在のPNなのでは?と勘付く。個人的には、城戸も永島も「普段本を読まないけど、この作品には感動した」と言っているあたりから、引っかかりは感じていた。無駄な記述はしなさそうなので。

叙述トリックもので伏線をしっかり張って読者にフェアであろうとすると、ミステリ慣れしている読み手には「何を隠したいのか」がバレバレになってしまうので、さじ加減が難しいところ。本作はちょっと伏線が露骨すぎたかも。

あと、粗探ししてもしょうがないんだけど、トリックらしいトリックは一切なく、そもそも山本が盗作をしていて自身はそれに気づいていないというのが最大の見せ場なので、正直肩透かしといった感じ。

また、やたら作中作が入り乱れるのもげんなりした。特にラストの、山本=折原までくるとそれ必要?って思ってしまったし。あれは蛇足。もっとシンプルに1行でひっくり返してほしい。

 

やっぱりちゃんとしたトリックもありつつ、叙述トリックでさらに惑わせるぐらいのミステリーが読みたい。