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イニシエーション・ラブ (乾くるみ/文春文庫)

8.イニシエーション・ラブ (乾くるみ/文春文庫)

総評:★★☆☆☆

おすすめ:一風変わったラブストーリーを読みたい方へ

 あらすじ(引用)

僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちていく。甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説―と思いきや、最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。

 

恋愛小説に終始していたので個人的にはハズレ。ミステリとしては☆1つというレベルに肩透かしだった。いや、「いつ人が死ぬのかな??」とかワクワクしながら読んでた私が悪いんだけど。

そういうわけで感想はかなり短くなった。ミステリだと感じなかったので、言及することが見当たらなかったためである。でも未読の人はネタバレを読まないよう気をつけてほしい。

 

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※  以下ネタバレ感想

 

 

 

 

 

 

 

叙述トリックしかないよね。

しかも初読時は例の1行にもあんまりビックリしなかった。ふーんって感じ。ミステリじゃないのか...というショックが強過ぎて(※1)、最早人物入れ替えにあんまり驚かなかったんだと思う。読み方が悪かった。

叙述トリックの致命的な点の一つが、「読者しか騙されない(作中の人物達には真相がバレバレである)」というところがあって、それをうまく処理している作品(叙述トリックを仕掛ける必然性がある作品)は個人的に評価が高くなる。

が、この作品の場合、作品内にはそもそも騙されている人がいないので読者がビックリしておしまいになる。「だからどうした?」となるのは私だけだろうか。冗長なセックスシーンも要らなかったし(伏線はあったけど)、これをミステリとして紹介して欲しくなかった。

あまり悪口ばかりもあれなので褒める点を上げておくと、伏線は確かに事細かに張られているし、叙述トリックが判明した瞬間「マユ」のキャラクターが一気に変貌するのは作者の筆力の賜物だろう。ミステリとして読まなければ面白い読書体験にはなると思う。凄く言い方は悪いが、芸能人がこぞって「オススメ!」と評しているのはそれにつられて買う層がよく分かっているマーケティングだなという感じ。

 

(※1)本書はミステリジャンルで紹介されていたせいもあり、私ははなっから「恋愛小説の体裁をとっているけど、何らかの謎が示されて、恋愛部分はあくまでサイドストーリーなんだろうな」と思っていたため。

別に人が死ぬばかりがミステリではないのは重々承知だが、やっぱりこの作品にはミステリといえるだけの「謎の提示」がないため、ミステリにくくるには不満が残る。

作者だけでミステリに分類したんじゃないのかって勘繰るレベルの詐欺表記だと思う。