1.倒錯の死角(アングル) (折原一/講談社文庫)
総評:★★★★☆
オススメ:もはや騙されなれたミステリ読みの方へ
あらすじ(引用)
覗く男と覗かれる女、究極の折原マジック。ベットの上にのびた恍惚の白い脚──男の妄想が惨劇を呼ぶ! ベッドの上に白くすらりとした脚が見える。向かいのアパートの201号室に目が釘付けになった。怪しい欲望がどんよりと体を駆けめぐる。あちら側からは見えないはずだ──屋根裏部屋から覗く男と覗かれる女の妄想がエスカレートし、やがて悪夢のような惨劇が。折原ワールドの原点ともいうべき傑作長編! (講談社文庫)
久々に騙されたくて読んだミステリ。シリーズ2作めだったことを知らずに読んだが、多分問題はなさそう。1作めも近日中に読みたい。
そもそもあるトリックが使われているものを読みたくて、久々のミステリとしてこれを選んだので、ずっと疑いながら読んだがスカッと騙されて気持ちよかった。ミステリ慣れしていない場合はやや難解かもしれない。
袋とじ付きミステリだったが、袋とじ前までで殆ど真相が明かされるので、自分で推理したい人はちょっと注意が必要。
※ 以下、ネタバレ感想
叙述トリックが読みたくて、それならば折原一だろうということで選んだ。
娘と母親が入れ替わっていたのに加え時間差のトリックまであるとはさすがに思いつかなかった。工夫の凝り方が半端ではない。
当てずっぽうでお母さん怪しいな〜これ実は娘が違う人なのでは??と疑っていたが、やっぱり当てずっぽうでは当たらないようにしているあたり、叙述に定評のある作者らしい。
人物の描き方もとても好み。
基本的にミステリーはトリックとストーリーを重視して読むので人物描写には拘らないのだが、だんだん狂気を帯びていく大沢の描写もさることながら、アル中で救いようのない悪党の曽根が妙に憎めなくて面白かった。ダンディーな上司が一転犯人だったことが判明する下りで、おいおいマトモなのはお母さんだけか?!!と思いきや、一番狂気に蝕まれてるのはそのお母さんでした、という後味の悪さ。最高。
登場人物全員気が狂ってるミステリーはやっぱ面白いなぁという感じ。
いわゆる叙述ミステリー定番の「たった一行でどんでん返し!」というよりは、さらに凝った設定なのでちょっと疲れたが、折原一は作家追いしていこうかなと思った。